Amazon(FireHD)タブレットシリーズで出来ないことについて!

Fireタブレットシリーズはコストパフォーマンスがとても優秀で使い勝手も上々な端末です。ですが完全にAmazonのサービスの一部として機能や性能が作り込まれているせいか、普通のタブレット端末として見ると出来ないこと、足りない機能も存在しています。

逆に言えば、Amazonのサービス・コンテンツのビュワーとしての機能に絞り込んでハードウェア・ソフトウェアをまとめたから、必要十分な機能をお手軽価格にまとめられた、と言えるのかもしれません。

この記事では普通とはちょっと逆にこの製品たちに足りない部分、Fireシリーズが出来ないこと・弱い部分をまとめてみたいと思います。




GPSセンサーを搭載していない

今のスマートフォンやタブレット端末にはさまざまな種類のセンサーが搭載されています。これを活用することでセンサーの情報なしでは考えられなかったような機能も実現できるようになりました。

端末の動きを検知する加速度センサー、端末を使う環境の明るさを調べる照度センサー、絶対位置を検出するためのGPS、もちろん画面のタッチセンサーもそうですね。

その中でも今の多くの端末ではかなり精密な絶対位置の検出が可能なGPSセンサーを搭載するのが恒例となっています。このセンサーからの情報を使うことにより、一番分りやすいところではナビゲーション機能などが活用できるようになります。

ところが実はFireタブシリーズにはGPSセンサーがついていないため、精度の高い位置情報を得ることが出来ません。これにより位置情報を使ったサービスの機能がかなり制限されてしまっています。

以下で具体的な例を3つ挙げて説明します。

ナビゲーションサービスが使えない

上の例にも挙げましたが、Fireシリーズでは詳細で正確な位置情報が得られませんので、カーナビゲーションなどのナビゲーション機能が使えません。

端末が接続しているWi-Fiの基地局・アクセスポイントからの情報を使ったかなり大まかな位置検出の仕組みには対応していますが、その位置情報の精度はあまり高くありません。端末の位置ではなくアクセスポイントの位置が分るだけですから。

さらに付け加えるならば、住宅街や商業地区の中ならいざ知らず郊外には受信可能な距離にWi-Fiアクセスポイントがあること自体がまれですよね。

カーナビ系のアプリなら地図の道の情報と位置情報のすりあわせを行なって現在位置が道路の上に乗るよう調整を行なうマップマッチングの機能があるのが当然になっていますが、その機能もあくまで位置情報が大きくても数十メートルぐらいの誤差に収る程度には正確なことが前提条件のはずです。

Wi-Fiアクセスポイントの位置レベルのかなり大まかな位置情報では正直なところどうしようもありません。

ポケモンGOなどの位置情報系ゲームは厳しい

ナビゲーションサービスが利用できないのとほぼ同じ理由で、Ingress、ポケモンGO、ドラクエウォークなどのような位置情報ゲームを遊ぶのもほぼ不可能でしょう。

現実の地域上に設定されている各種のイベント発生ポイントとある時点でプレイヤーがいる場所の突き合わせが出来ない訳ですから、肝心なゲームのイベントを発生させられないと思います。

例外的なものとしては商業施設のフードコートなど、公共Wi-Fiホットスポットが設けられている地点がポケストップのようなゲーム上でのホットスポットになっているケースならば、Wi-Fiを使った位置情報検出でもゲーム的には何とかなる可能性があるのかもしれませんけれど。

位置情報と紐付けたリコメンドサービスも厳しい

スマートフォンを使っているユーザーだとこの機能はいつの間にか使っているケースも多いと思います。街を移動していて商業スポットなどに近づくと、自動でそのスポットに関する情報をスマホが教えてくれることに気づいてらっしゃるでしょう。

この機能も当然GPSセンサーによる精度の高い位置情報を利用してサービスの提供が行なわれています。

実際のところFire OSではこのタイプの機能は省かれていそうではありますが、例え機能が作り込まれていたとしてもGPSセンサーを搭載しないFireタブレットシリーズではこのの機能を効率よく高い精度で利用するのは不可能だと思います。

また、検索機能の位置情報を使った拡張としてGoogleがTV CMでよくやっている使い方の例、「この近くの~を教えて」もFireシリーズだと厳しい、と言うことになります。




LTE、5Gモデム非内蔵で単独ではネットに繋げられない

Fireタブレットシリーズはネットワーク接続用のアダプタとしてはWi-Fi、無線LAN機能しか内蔵していません。5GやLTEといった携帯電話回線を活用することで、タブレット端末単体でインターネット接続を行えるようなモデムを搭載した機種が設定されていません。

このため自宅ででもインターネットを経由して提供を受ける各種サービスや、Webの閲覧、ネット動画視聴、電子メールの利用、チャット等々をやりたいと思ったら、外部に何らかのインターネット接続用回線を準備してWi-Fiアクセスポイントを設置してやる必要があります。

また自宅から離れた場所でFireシリーズを使ってインターネットのサービスを活用しようと思ったら、スマートフォンのテザリング機能を利用するとかモバイルWi-Fiルーターを準備するといった準備が必要になります。

これらの携帯電話回線経由のインターネット接続手段を用意できない場合には、公共Wi-Fiスポットのある場所まで行く必要が出てきます。

つまりFireシリーズ単独だと、いつでもどこでもインターネット、とはならないわけですね。




外部映像出力がない

Fire HD 8をはじめとした最新のAmazonのタブレット端末にはHDMI端子などの物理的な外部映像出力端子がついていません。

2020年版の製品にはType-C形状のUSBコネクタがついていますがこれは一般的なUSB2.0規格でのデータ通信と充電のためのコネクタで、「DisplayPortのオルタネートモード」による映像出力には対応していません。

新しいFireタブは有線での映像出力は出来ない作りになっているということです。

また、スマートフォンの一部が対応しているWi-Fiによるデータ通信を使った映像の外部出力機能の「Miracast」も、Fireタブレットのある年度のバージョンから省かれるようになってしまいました。恐らく今後もこの機能の復活の可能性は薄いでしょう。

このあたりは恐らくAmazon TVスティックの販売戦略との兼ね合いで、テレビの大画面で動画を見たいときにはそちらを買って下さいね、というAmazonの販売意図の表れなのでしょう。

つまるところ最新版のFireタブレットシリーズは、そのままではテレビやPCのディスプレイなどに動画等々を出力して大画面で各種コンテンツを楽しむことは出来ません。

Amazonのアプリストアが弱い

こちらは恐らくFireシリーズが登場したときからずっと言われ続けている内容だと思います。それでもなかなか改善が見られないのが悲しいところではあるのですが、Amazon公式のアプリストアの品揃えはかなり寂しい状況が続いています。

こういった施策が続いている理由の一つには、Amazonが自らの手で管理しきれる範囲にアプリなどの本数を抑えることでセキュリティ面を確実に確保することを目的としていることが上げられるのではないかと思います。

よほど多くのマンパワーを割り当ててアプリの審査をやり続けない限り、アプリストアに並べるソフトウェアにはどうしてもセキュリティ的に問題がある製品が紛れ込んでしまいます。

たくさんのユーザーがダウンロードしたアプリに例えば個人情報を盗むマルウェアを紛れ込ませられた場合には、その盗んだ情報を元に不法な利益を得ることも可能になります。このためこのような「悪いこと」を企む輩はあとからいくらでも沸いてきてしまうのが現実ですから。

Amazonはそういった状況が起こるのは極力避けたいのでしょう。

もう一つは書籍や動画、音楽配信等々のコンテンツはAmazonのものだけを使うようにして欲しい、Amazonが管理するカテゴリーに閉じた市場、エコシステムを作りたいという目的もあるのだと思われます。

Appleがアプリまでの世界ではかなり「閉じた」世界を作ることに成功してその市場を見事にコントロールしていますから、Amazon的にはそこを理想の目標としたのかもしれません。

Android系のように誰でも幅広く参画できるオープンに近い世界になると、どうしても主催する企業の影響力は弱まります。Amazonとしてはそういった形は出来れば避けたいのではないでしょうか。

この2つの予想が事実はどうかは不明ではありますが、実際のところAmazonの公式アプリストアの品揃えが寂しいことのほうは事実です。このため「この機能を実現したい」という時に、それに対応できるアプリが公式アプリストアでは見つからない可能性がそこそこあります。

この辺りの機能性の観点では、FireシリーズはAndroidやiOSの世界にはまだまだ遠く及びません。

ハード性能は概ねエントリー級

Fireタブレットシリーズの中では上位機種となるFire HD 10あたりになると、タブレット端末ジャンルすべての中でもミドルレンジぐらいの性能を備えるようになります。

これに対してFire HD 8などはスマートフォンで言うところのエントリークラスの性能しか持っていません。絶対的な処理能力という観点では今どきの情報端末の水準としてはかなり低めのものになります。

このため最新のスマートフォン向けゲームのように、3Dで画面描画が行なわれるポリゴンバリバリ、美しい画面を持つタイプのゲームにはハードウェアの性能がマッチしていません。

決して動かないことはないはずですが、ポリゴンの処理が追いつかずに1秒あたりの画面の書き換え回数が落ち込んで、場合によってはゲームにならないケースも出てくることでしょう。

また、CPU本体の性能もやはり低めのため、タブレット端末だけで動画を撮影、編集、エフェクトをかけてYouTubeにアップロード、と言った使い途にも性能面で厳しいことが予想できます。

動画編集というのは実はコンピュータ的にはものすごく重たい処理ですから。

高い解像度で高画質、かつそれなりの速度で目的の動画に変換する処理は、ハイエンド級のパソコンでも能力が十分とは言えないぐらいの処理内容・重さになります。

元々Amazon側が想定していると思われるコンテンツを読む・見る端末としてならFireタブシリーズの能力は十分以上なのですけれどね。逆にこういった使い途を目的とするならば、最新のハイエンドスマホはむしろ性能が無駄に高すぎると言えるのです。

コンテンツビュワーとしての位置取りで考える場合でも、Fireシリーズでは内蔵ストレージが少なめの容量の設定になっているところは弱点となり得ます。

電子書籍の利用ならば問題にはなりにくいですが、動画をインターネット接続環境がない場所で見られるように端末にダウンロードしたり、高画質の音楽データのダウンロードを行なったりすると内蔵ストレージの容量はあっという間に心許なくなります。

大容量のSDカードに対応していますので容量の確保自体は容易ですが、端末価格の安さから来るお手軽さに対してはネガティブな要素になってしまいます。




カメラ性能がよろしくない

もう一つFireシリーズで出来ないこと、と言いますか性能上の大きな弱点と言えるポイントとしてはカメラ性能が低いという部分も挙げられるでしょう。

Fireタブレットシリーズで採用されているカメラのセンサー部はわずかに2Mピクセルのものです。撮影した写真の解像度にすると1,600ドット x 1,200ドット。フルHD解像度をカバーすることも出来ないサイズです。

最新のスマートフォンでは1億画素なんてとんでもない高画素のセンサーを採用する機種も登場し始めています。まあ、それは例外中の例外としても、一般的なスマートフォンでは1,000万画素~2,000万画素程度のセンサーが普通に使われる世界です。

もっとも写真のクオリティはセンサーの画素数だけでは決まりませんが、スマートフォンで使われる最新のイメージセンサーは画素数だけでなくトータルの「画質」でも非常に頑張っています。加えて最新のスマホでは写真を生成する「映像エンジン」が非常にいい仕事をします。

偶然にも「画質」という単語が一番端的に写真のクオリティで重要なものを表しているのですが、写真を構成するそれぞれのドットの「質」もすごく大きなウェイトを占めています。

Fireシリーズのカメラで言うと、画素数よりもむしろこの「質」の方がちょっと残念な感じになっています。

Fireシリーズで撮影した写真は、かつてのいわゆる「携帯画質」の写真の仕上がりになります。今風に言うとそうですね..、ビデオ会議で使うWebカメラレベルの画質を想像するといいかもしれません。

このため本格的にストレートな絵作りの写真で「作品作り」をするのはかなり厳しいと思われます。どちらかというと「メモ用」の画像生成とか、それこそビデオ会議で使うことを意識したカメラモジュールなのでしょう。

何か元も子もないような表現の仕方になってしまいますが、もしもFireシリーズのカメラで写真の作品作りを考えるならば画質の悪さを逆に活かした「トイカメラ」的表現に使うのがいいかもしれませんね。




Amazon(FireHD)タブレットシリーズで出来ないことについて! 記事まとめ

Fireタブレットシリーズは非常に高いコスパを実現した、すごく手軽に手に出来る良ガジェットだと思います。

ただしお手頃価格を実現するために省略、あるいは割り切った形で実装された機能がいくつもあります。

このためFireシリーズは、最新のスマートフォンのようなそれ一つあればとりあえず何でもそつなくこなせるデバイスにはなっていません。何でもかんでもFireタブレットで賄おうとするとあれこれストレスを感じたりする可能性がありますし、そもそも目的の作業が実現できなかったりもします。

Fireシリーズのタブレット端末はそういった部分、出来ることと出来ないことをある程度分った上で使うタイプの製品だと思います。

通常はAmazonが持っているとても豊富で優れたコンテンツを「見る」ための端末と考えるのが安全でしょう。

そこから一歩踏み込んでより広いジャンルで有効に活用するためには、キチンと情報を集めて使い方を工夫をする必要がある端末です。

プラスαの使い方を考えている方はこの部分を頭に置いておきましょう。