ポータルサイトのエキサイトが運営しているエキサイトモバイルは、ポータルサイトそのものの知名度もあって、順調にユーザーを増やしているといいます。
エキサイトモバイルの通信速度については、スピードが大幅に低下する時間帯があるのが問題です。これは、エキサイトモバイルがドコモ系であることと、回線の「又貸し」であることが関係しています。
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エキサイトモバイルの実効速度はどうなの?
エキサイトモバイルは公式サイトで、通信スピードの最大速度は下り1288Mbps、上り131.1Mbpsだと説明しています。
ただ、実際にこれだけの速度が出るわけではありません。それどころか、大手キャリアを大幅に下回るスピードしか出ない時間帯もあるのです。
公称よりはるかに遅い時間帯がある
エキサイトモバイルについては、実際に速度を測定しているサイトがあります。そちらのデータを元に、大手キャリアと比較しながら通信スピードを検証してみます。
エキサイトモバイルの通信スピードは、朝や夜などの利用者が多くない時間帯だと10Mbps強出ています。ドコモ本家の40Mbpsと比較すれば遅いですが、それでも実用上問題が出るレベルではありません。
問題があるとすれば、昼間の利用者が多い時間帯です。スピードがある時間帯でも2Mbps強、スピードが出ていない時間帯だと1.5Mbpsにまで落ち込んでしまうのです。
楽天モバイルのスーパーホーダイでは、通信料金のかからない低速モードの通信スピードが、理論上1Mbpsとアナウンスされています。それに毛が生えた程度のスピードしか出ないのです。
では、大手キャリアはどうでしょうか。ドコモ本家の場合、最もスピードが出ていない時間帯であっても20Mbpsを下回ることはありません。
auやソフトバンクは、さすがにドコモほどのスピードは出ませんが、それでもエキサイトモバイルほどの速度低下は見られていません。
こうした傾向は、エキサイトモバイルに特有のものではありません。むしろ、MVNOでは一般的な傾向だとされていることなのです。
なぜ実効速度が遅くなってしまうの?
エキサイトモバイルをはじめとするMVNOの通信スピードが低下しやすい理由としては、回線を自前で持っておらず、大手キャリアから借りていることが理由として挙げられます。
大手キャリアは利用者が多いですが、それに見合った回線を維持できる設備を持っています。もちろん、そのためにはお金がかかります。無駄に高い料金を取っているわけではないのです。
これに対して、MVNOは大手キャリアから回線を借りています。自前の設備を持っていないので維持費が抑えられるため、利用料金を安くできるというわけですね。
ただ、あくまでも大手キャリアの回線の一部を借りているだけなので、回線の容量にはそれぞれ限界があります。昼間の時間帯は、この限界近くになりやすく、スピードが低下しやすいというわけです。
もしスピードを維持するならば、それに見合った回線を用意しなければなりません。しかし、回線を増強するためにはレンタル料金を増やす必要があるので、判断の難しいところではあります。
ちなみに、エキサイトのような回線の「又貸し」を受けているMVNOは、通信速度が低下しやすい傾向があります。また、ドコモ系MVNOは回線速度の低下が顕著だとされています。
エキサイトモバイルは回線の「又貸し」
エキサイトモバイルはドコモから回線を直接借りているわけではなく、別のMVNO、具体的にはIIJmioから回線を「又貸し」してもらう形を取っています。
これは、大手キャリアから直接回線を借りることは簡単ではないためです。ただ、MVNOの回線の一部を借りる形になっていますので、容量が足りず速度低下を起こしやすいというわけです。
聞き慣れない言葉「MVNE」とは何のこと?
実は回線の又貸しを受けているMVNOは、意外と多いのです。IIJmioの場合、エキサイトモバイル以外にもイオンモバイルやDMMモバイルに回線を又貸ししています。
こうした事業を行っているのは、IIJmioだけではありません。MVNOについて調べていると「MVNE」という聞き慣れない言葉をよく見ますが、この又貸しを行っている業者がMVNEなのです。
エキサイトモバイルの場合、直接ドコモと交渉して回線を借りているわけではありません。直接交渉を行っているのは、MVNEであるIIJmio側なのです。
交渉の結果、借りてこられた回線の一部をエキサイトモバイルなどに提供しているというわけです。なぜこのような、面倒なことをしているのでしょうか。
どうして回線の「又貸し」が行われているの?
実は、大手キャリアから回線を借りるのは、そんな簡単にできることではないのです。ぽっと出の業者がいきなり借りたいといっても、すぐに貸してくれる可能性は高くないです。
これまで回線を借りたことがある業者がそうした交渉や手続きを代行すれば、比較的スムーズに回線を借りることができます。これによって、MVNO参入の敷居が低くなっているというわけです。
また、大手キャリアはある程度まとまった容量の回線しか貸してくれません。立ち上げ時にそこまでの回線が必要でなければ、無駄なコストがかさむことになります。
MVNEから回線を借りれば、容量が少なくてもOKなので、こちらもMVNOに参入しやすくなります。
ただし、借りられる回線に限度があるので、速度低下も起こしやすいというわけですね。
スピード低下はドコモ系で顕著!その理由は?
一方、同じMVNOであっても、借りている回線が違えばスピードは異なります。特に、ドコモ回線を利用しているMVNOは、スピード低下が大きいといわれています。
これは、ドコモ回線を利用しているMVNOが多いためです。回線を借りる際のコストが、MVNOの多さにつながっているとされています。
同じMVNOでも回線によって速度が違う
同じMVNOで回線によって差が出ることがあるのは、実際の計測データから分かっています。具体例として、mineoのドコモ回線とau回線を比較してみます。
まずドコモ回線の場合、昼間の利用者が多い時間帯は最高でも2Mbps程度、最悪だと1.2Mbps程度しか出ません。エキサイトモバイルと大差ない数字です。
これに対してau回線の場合、最も利用者が多い時間帯であっても2Mbpsを割り込むことはありません。それどころか、ドコモ回線で2Mbps出ていない時間帯でも、4Mbpsを確保していることがあります。
mineoではソフトバンク回線も提供していますが、こちらは一時的に2Mbpsを割り込む時間帯があります。ただ、1.2Mbpsまで落ち込む時間帯は確認できません。
同じMVNOでありながらこれほどの差が出るのは、借りている回線の差から来ているとしか説明のしようがありません。なぜこのようなことになるのでしょうか。
ドコモ系MVNOが多くなる理由は?
これは、ドコモ回線を利用しているMVNOが多く、回線リソースに限りがあることからきています。なぜ、ドコモ回線を利用しているMVNOが多いのかというと、コストが安いからです。
MVNOとして市場に参入する際、コストの高いauやソフトバンクの回線を借りるのは、リスクがあります。採算ラインが高くなってしまうからです。
実際、au回線だけで始めたMVNOは、KDDI系のUQ mobileのみです。ソフトバンク回線だけで始めたのも、系列のワイモバイル以外にはありません。
つまり、ドコモのコストの安さが、MVNOの普及に一役買っているということになります。ただし、利用者が多くなれば回線リソースが不足し、通信スピードが遅くなりやすいのです。
エキサイトモバイルについては、IIJmioからの回線の又貸しであることと、ドコモ回線を利用していることの両方が、通信スピードの大幅な低下の原因になっていると言っていいでしょう。