スマートフォンの普及とその使われ方の拡大などの理由からモバイルバッテリーの売れ行きが大きく伸びました。
ポケモンGOやドラクエウォークなどのようなスマートフォンならではのものも含むスマホゲームの普及も大きく寄与しているようです。
スマートフォンの充電は基本的にはUSBやLightningのコネクタを経由する有線接続ですが、「Qi」という規格の「無線充電」の仕組みもあります。
充電用のパッドにスマートフォンを置いておくだけでスマホへの給電が可能な夢のシステムです。
今回は今のモバイルバッテリーと無線給電システムQi(チー)周辺のあれこれをまとめます。
便利なワイヤレス給電Qiとモバイルバッテリーのおすすめ3つ
まずはQiを絡めておすすめのモバイルバッテリーランキング順に紹介していきます。。
AUKEY PB-Y32
一つ目はこちら。
AUKEY-Qi対応モバイルバッテリー-ワイヤレス充電可能-Charge3-0-PB-Y32「PSE認証済」
すっかりモバイルバッテリーやACアダプタ・急速充電器などを含むスマホ向け周辺機器のメジャーメーカーになったAUKEYの製品で、Qiの給電用パッドを内蔵した10,000mAhのモバイルバッテリーです。
モバイルバッテリーとしてはクアルコム製チップを搭載したスマホの急速充電規格のクイックチャージ(QC)3.0とUSB PDに対応するほぼ最新規格全部入り機です。最大18Wの出力が可能です。
また無線給電のQiでも対応機には最大10Wの供給が可能となっています。
とりあえずすべての充電方式で現時点の最新の使用をカバー、という便利性がとても高い一台です。
Cheero CHE-105
おすすめ2機種目は、ダンボーモチーフのユニークなモバイルバッテリーなどを製品化しているCheeroからこちらです。
今の水準で考えると比較的小さめの容量のモバイルバッテリーにQiの充電パッドを内蔵させた製品になります。
USB Type-Aコネクタ、Type-Cコネクタも搭載していてType-Cコネクタからは最大5V 3Aの出力が行えます。Qiに関しては5W出力までとなっていて、一般的な有線接続になおすと5V 1Aの通常充電相当になります。
本体は厚みこそ多少あるもののサイズはスマホ本体よりも小さくまとめられていて、とてもコンパクトな機種です。
Anker PowerWave 10 Pad + Anker PowerCore Slim 10000 PD
実はQiの給電パッド内蔵のモバイルバッテリーはまだ数があまり多くなく、特にメジャーメーカー製は数えるほどしか製品化されていません。
モバイルバッテリーはコンパクトなサイズの中に非常に高いエネルギー密度で電力を貯めています。ですので可能なら安心感の高いメジャーメーカー製品を使用したい所です。
また、出先だけではなく自宅でもQiの充電パッドを活用することを考えると、一般的なモバイルバッテリーとQiの給電パッド単体を組合わせて使う、という方法も有効な使い方と言えます。
そういった条件も含めて考えるとAnkerのこの二つの機材の組み合わせもおすすめできます。
採用例がどんどん増えているUSB PD規格に対応した10,000mAhのモバイルバッテリーとQi充電パッドの組み合わせです。
モバイルバッテリーのほうはUSB PDからの給電に対応する機材なら、ノートパソコンも充電出来るはずです。汎用性はとても高い組み合わせです。
Qiって何?
さて、Qiの仕組みについても簡単に触れておきましょう。
Qiは「電磁誘導」を使ってケーブルを接続することなく電力の供給を行うことができる無線給電の仕組みです。
WPC:ワイヤレス・パワー・コンソーシアム(Wireless Power Consortium)が策定した無線給電の国際標準規格になっています。現在の所は中電力向けのQi v1.2が策定されています。
将来的には最大120Wの電力の供給を目指す規格ですが、今の時点では15Wまでの対応になっています。
スマートフォンや周辺機器の対応レベルとしては、サムスン製スマートフォンの一部が10Wの受電に対応。新しいiPhoneシリーズの一部が7.5Wまで、その他のQi対応機器は5Wの入力に対応しています。
モバイルバッテリーのあれこれ
今回のテーマのもう一方、モバイルバッテリーに関する情報もいくつかまとめておきます。
実はモバイルバッテリーを巡る規格は結構厄介なことになっています。スマートフォン側の仕様もキチンと確認しておかないと、充電速度等々で期待したとおりの性能が出ないことがあります。
そのあたりの理解の一助になれば幸いです。
充電・給電回りの規格
スマートフォンの充電にはマイクロUSBやUSB Type-Cコネクタが使われていますが、電力の供給に関しては一部USB側の規格からは完全に外れています。
大きく分けると、USB側が規格を拡張して大きな電力を供給出来るようにした「USB PD(USB Power Delivery) 」という規格と、クアルコム製のチップを搭載したスマホで使われることが多い「QC(Quick Charge)」という規格があります。
どちらにも則っていない場合には最大5V 2A=10W前後での充電になります。
現在商品化されている中だとQCのほうは最大18Wの給電、USB PDは機材が対応していればもっと大きな電力の供給も可能です。
ただモバイルバッテリーとしてはどちらの規格でも18W程度が最大出力になっていることが多いです。
Android系のスマートフォンだとQC対応の機材が多く、iPhoneは新しいものがUSB PD規格に対応します。手元のスマホにあった規格のモバイルバッテリーを入手すると、より充電時間を短く出来ます。
表示上の容量と実効容量の関係
モバイルバッテリーの容量は内蔵しているバッテリー自体のスペックを示しています。実際にどれだけスマートフォンを充電出来るか、という数字ではないことに注意してください。
モバイルバッテリーが使っている充電池もスマホが内蔵するのと同じリチウムイオンバッテリーですが、このバッテリーの電圧は基準が3.7V。これに対してUSBコネクタから供給する電圧は5V以上になっています。(QCやUSB PDでは9Vなども使われる)
このため電圧を変換する必要があってその過程で電力の一部をロスします。
良く出来たモバイルバッテリーでも表示された容量の8割使えるかどうか、と言ったレベルです。電圧の変換回路の作りが悪い製品だと表示容量の6割程度しか使えないこともあります。
ですので、購入の際には「実効容量」を考えた上で製品を選びましょう。2万mAhの製品なら実際に使えるのは1万4千mAhぐらい、と考えておくといいでしょう。
著者の体験レベルでは、この変換効率の部分はメジャーメーカーに一日の長がある気がします。
モバイルバッテリーって危険なデバイス?
一時期、モバイルバッテリーが発火したり破裂したりする事故のニュースが相次ぎました。最近は報道されることが少なくなっていますが、これは事故が減っている、と言う訳ではなくみんなの興味が薄れたから報道されなくなったというだけです。
モバイルバッテリーは小さなスペースにすごく大きな電気エネルギーを蓄えていますから、内部でショートが起こると発火して場合によってはバッテリーセルが破裂するのは実は当然のことなのです。
ですのでモバイルバッテリーはスマートフォン本体以上に絶対に雑に扱ってはいけないデバイスです。スマートフォン本体よりもずっと重量もありますから落下させるなんてもってのほか。
持ち運んで使ってこそのガジェットですから、その取り扱いには十分注意を払いたい所です。
もちろん取り扱いさえ間違えなければ、まともな製品なら事故が起こる可能性はまずありません。
現時点のおすすめ
Qiはスマートフォンを充電パッドの上に置くだけで充電可能なものすごく便利かつ未来的でちょっと楽しい仕組みです。
ですが実際にスマートフォンとモバイルバッテリーを使うシーンに当てはめて考えてみると、使い方と上手くフィットしないシーンもあります。例えば充電しながらゲームを遊ぶ、といったケースですね。
充電パッドやモバイルバッテリーとくっつけて一緒にスマホを持つ、なんてちょっと無理でしょう。こういった時には見た目はかっこ悪いかもしれませんがスマホとモバイルバッテリーをケーブルで接続する方が楽です。
Qiの充電速度の面もありますね。やはり有線での給電を使った方が充電速度は速いのです。
ですので、今の時点ではQiの充電パッド一体型ではない普通のモバイルバッテリーと充電パッド単体を組み合わせて使う方が何かと便利です。自宅でACアダプタにQiの充電パッドを繋いで利用することも出来ますしね。
ですので、現時点での著者のおすすめは比較的大容量のモバイルバッテリー(1万mAh↑)と10W対応のQi充電パッドの組み合わせになります。
製品選択の幅もグッと広がりますし。