楽天モバイルは4月8日から、自社回線の運用を本格的に開始すると発表しました。現在はMVNOとして運営していますが、新規受け付けは4月7日で終了します。
電話もネットも使い放題で2980円という安さがセールスポイントですが、まだ自社回線が完全に整っておらず、多くの地域ではau回線を借りて運用することになります。(価格はすべて税別)
目次
MNO化は4月8日、MVNOの受け付けは終了
現在は東京、大阪、名古屋の中心部だけで試験的に自社回線を運用している楽天モバイルですが、4月8日から「Rakuten UN-LIMITED」として、本格的に自社回線による運営を開始します。
これに伴って、MVNO事業の新規受け付けは4月7日で終了します。ただし、運営そのものは当面継続するとしており、現在利用中の人が急いで自社回線のプランに切り替える必要はありません。
ただ、現時点で自社回線に接続できるのは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の一部です。47都道府県に基地局ができるのは、2021年度末としています。
では、それまで楽天の電波が届かない地域ではどのようにするのかというと、auの回線を借りて運用することになります。このため、自社回線が整うまではau回線を利用する人が多くなりそうです。
ちなみに、楽天の自社回線の速度ですが、常時30Mbpsを超えています。大手キャリアと遜色ないレベルで、この点については期待していいのではないでしょうか。
「使い放題」で2980円がセールスポイント
Rakuten UN-LIMITEDの料金設定は単純明快で、通話とネットが利用無制限で月々2980円です。しかも、300万人を対象に1年間、無料でプランを提供するとしています。
通話もネットも使い放題
まず、ネットについては容量無制限なので、いくら利用しても料金は同じ2980円です。ただし、自社回線を利用していることが条件になります。
もしずっと楽天の自社回線を利用できる環境にいるのなら、外出先で動画を長時間鑑賞しても料金が同じなので、大幅な節約ができる可能性があります。
通話についても同様です。MVNOと言えば通話料金が必ずしも安くならないという問題がありましたが、4月8日以降はいくら利用しても料金は定額となります。
特筆すべきは、海外から日本への通話についても定額に含まれているということです。国際電話は料金が高いと頭を痛めていた人にとっては、朗報と言っていいでしょう。
ただし、通話料金がかからないのは、専用アプリである「Rakuten LINK」を利用した場合に限られます。利用しない場合には、通話料金が必要となります。
このため、後述するようにRakuten LINKが使えない端末を利用している場合、かけ放題の恩恵にあずかれないことになってしまいます。
大手キャリアとの価格比較
では、同条件の大手キャリアと比較した場合、価格はどうなっているのでしょうか。少なくとも楽天回線を使っている限り、大幅にリーズナブルになっていると言えます。
ドコモの場合、ネットについては容量無制限プランが設定されておらず、ギガホが実質60GBプランとして運用されています。月額料金はギガホ7150円、かけ放題プラン1700円です。
auだと、容量無制限のデータMAXプランが設定されています。料金は7650円で、通話かけ放題にする場合には通話定額(1700円)への申し込みが必要です。
ソフトバンクは容量50GBのメリハリプランが7480円で、かけ放題オプションの料金は1800円となっています。
いずれもRakuten UN-LIMITEDと同等のプランを申し込むと、9000円円前後です。いかにRakuten UN-LIMITEDが破格値か、分かってもらえるのではないでしょうか。
サービス開始時の自社回線は大都市のみ
問題は、サービス開始時には自社回線に接続できる地域が1都2府5県の政令市クラスの大都市に限られていることです。また、建物内での弱さも指摘されています。
Rakuten UN-LIMITEDの電波が届かない場所で使う場合は、auの回線を利用することになります。このときには、パケット容量2GBという上限が生じるという問題があります。
当面はau回線も利用して運営
楽天は自社回線について、令和2年度末までに47都道府県に基地局を設置すると説明しています。ただ、現時点については自社回線が整っているとは言い難い状況です。
サービス開始時点では東京都内の場合、23区以外では電波が届くエリアはほとんどありません。京阪神も大阪、京都、神戸の政令市以外では楽天の自社回線が利用できる状況になっていません。
また、利用している電波の周波数が屋内に届きにくいとされているためか、大都市であっても屋内では楽天の回線につながりにくいということが指摘されています。
これではMNOとしての運営は絶望的なので、楽天ではauと契約を結び、楽天回線のエリア外ではau回線にローミング接続する形で対応することになっています。
将来的には楽天の基地局も整ってくるでしょうし、屋内で利用できる超小型基地局「Rakuten Casa」の提供も行うので、徐々に電波状況は整うとみられます。
au回線エリアでは容量2GBが上限
ただ、au回線を使う際には問題が生じます。それは、パケット容量に2GBという上限が設けられていることです。それ以上使う場合には、1GB当たり500円の追加料金が必要となります。
MVNO時代のかけ放題プランである「スーパーホーダイ」の2GBプランが2980円であることを考えると、2GBが上限でも価格的に決して高いというわけではありません。
問題は、楽天の回線に接続しているか、auに接続しているかが分かりにくいことです。どちらの回線に接続しているかは、アプリを立ち上げれば判別できますが、やや面倒ではあります。
また、楽天の回線とauの回線は自動的に切り替えられます。どちらかの回線だけ使うようにすれば2GBを消費しなくてすむのですが、現時点ではそれはできないと説明しています。
つまり、サービス開始時点では2GBという多くない容量を消費しないよう、神経を使う必要があるのです。これでは、本当の意味でのネット使い放題とは言い難いです。
iPhoneへの対応に問題あり
Rakuten UN-LIMITEDには、人気のiPhoneをはじめとするiOS端末への対応にも問題があります。現時点で正式対応しているのは一部のAndroid端末のみで、iOS端末には正式対応していないのです。
機種によっては使えるという報告もありますが、サポート外になります。また、かけ放題に必要なRakuten LINKがiOSに対応していないという問題もあります。
公式にはiOSに対応していない
楽天が取り扱うスマホなどの端末は十数種類ありますが、いずれもAndroidです。iPhoneをはじめとするiOS端末への正式対応は、現時点ではアナウンスされていません。
楽天が取り扱う端末はすべてSIMフリーです。アップルストアなどで取り扱っているiPhoneはすべてSIMフリーですし、キャリアのものもSIMロックの解除は可能です。
このため、SIMがiOSに正式対応していなくても、使える可能性がないわけではありません。実際、iOS端末で利用できたという報告もあります。
しかし、現時点でiOS端末がサポート外であることに変わりはありません。現時点では多くのユーザーが、Rakuten UN-LIMITEDの利用に不安を抱えていることになります。
Rakuten LINKはiOSで使えない
また、iOS端末の場合、Rakuten UN-LIMITEDのセールスポイントのひとつであるかけ放題に対応していないという問題も抱えています。
Rakuten UN-LIMITEDのかけ放題サービスを利用するためには、Rakuten LINKという専用アプリを使う必要があります。このアプリが、iOSに対応していないのです。
さすがにいつまでもiOSユーザーを無視するわけにはいかないでしょうから、いずれは対応すると考えていいでしょうか、現時点で利用できないことに変わりはありません。
アプリが利用できなければ、30秒20円の通話料金がかかるので、利用料金が割高となります。このように、iOS端末での利用には問題が多いのが現状なので、iPhoneユーザーは「待ち」かもしれません。